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二十四節気「小雪」
冬の到来を静かに告げる

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2024/11/22 04:58 ウェザーニュース

11月後半になって、いよいよ寒い日が増えてきました。それもそのはず、今日11月22日(金)から、二十四節気(にじゅうしせっき)の「小雪」に入ります。この場合、小雪は「しょうせつ」と読みます。

まだ雪が降らない地方が多い一方で、北国や山からは、雪の便りが次々に届く頃です。

小雪は静かに冬の到来を告げてくれる時季です。その小雪について、もう少し詳しく見てみましょう。

「木の葉時雨」〜木の葉が散ることに、冬の訪れを感じる

小雪の頃を思わせる言葉に、「木の葉時雨」(「このはしぐれ」と読みます)という語があります。木の葉が散るのを時雨にたとえた言葉です。

時雨は晩秋から初冬にかけて断続的に降る雨のことです。

「時の雨」と書いて「時雨」。不思議な語感の言葉だなと思う人もいるでしょう。

時雨の語源には、幾つかの説があります。

一般的なのは、時雨は「過ぐる」から出た語で、通り雨の意味があるという説です。

ほかには「しばし暗し」から転じたとする説もあります。雨が少しのあいだでも降ると、しばし暗くなりますね。そのことを考えると、この説にも、なんとなく得心がいきます。

時雨の風情や音は、多くの人に好まれ、さまざまなものにたとえられてきました。

たとえば「蝉時雨」は多くの蝉(せみ)が、「虫時雨」は多くの秋の虫が、盛んに鳴き立てる様を、それぞれ時雨の音にたとえていう語です。

そして「木の葉時雨」は、木の葉が散るのを時雨にたとえています。

木の葉が散ることに、冬の訪れを感じる。そうした心のゆとりを持ちたいと思わせてくれる言葉でもありますね。

小雪って、他にはどんな時季?

風花(かざはな/かざばな)が舞う時季

晴れた日に花びらが舞うようにちらつく雪や、初冬のころ、風が吹き始めるとともにチラチラと舞い散る雪のことを「風花」といいます。

雪なのに、雪の文字を使わずに、雪を表す言葉というのは、おもしろいですね。風に舞う淡い花びらのように見えることから「風花」と呼ばれるようになったのでしょうか。

風にも、花にも、そして雪にも、命があると考えた先人たちが、舞う雪を愛(いと)おしんで名づけたのかもしれません。

炬燵猫(こたつねこ)や悴け猫(かじけねこ)が現れる!?

一般的には、猫は寒いのが苦手です。

童謡で文部省唱歌の『雪』には、以下の歌詞があります。

 雪やこんこ あられやこんこ
 降っても降っても まだ降りやまぬ
 犬は喜び 庭かけまわり
 猫はこたつで丸くなる

犬と猫の対比がおもしろいですね。「炬燵猫(こたつねこ)」という言葉もあるほどです。

もう一つの「悴け猫(かじけねこ)」は、寒くて縮こまっている猫のことです。猫自身は寒いのかもしれませんが、人からすると、丸まった猫の姿はかわいいものです。

新嘗祭(にいなめさい)と勤労感謝の日

新嘗は「新の饗(にいのあえ)」が変化した言葉といわれます。饗は、ごちそうでもてなすことで、天皇が新しく収穫した穀物を神に供え、天皇自らも食する儀式です。古代から行われています。

太陽暦が採用されて以降、新嘗祭は11月23日に執り行われることに決まりました。宮中に加え、全国各地の神社でも、11月23日に新嘗祭が行われます。

1948年以降、11月23日は「勤労感謝の日」として国民の祝日になりました。新穀(しんこく)の収穫や農業に感謝するだけでなく、勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日になったのです。

「木の葉時雨」が示すように、小雪は落ち葉の時季でもあります。散り落ちた黄や茶、赤の葉で彩られた道を踏みしめ、散策しながら季節の歩みを楽しむのも良いかもしれません。

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監修/山下景子:作家。『二十四節気と七十二候の季節手帖』(成美堂出版)や『日本美人の七十二候』(PHP研究所)など、和暦などから日本語や言葉の美しさをテーマとした著書が多数ある。
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿) 11月7日(木) 北海道旭川市 かもちんさん